ライトノベル 鉄コミュニケイション レビュー

タイトル 鉄コミュニケイション1 ハルカとイーヴァ
著者 秋山瑞人
原作 たくま朋正/かとうひでお
イラスト たくま朋正
出版 電撃
発売日 1998年10月


執筆者:jade 評価:
記憶喪失で推定年齢13歳で人類最後の生き残りかも知れない少女ハルカ。彼女は廃墟でスパイク、アンジェラ、クレリック、リーブス、トリガーの5人のロボットと家族のように暮らしていた。そんなある日、ハルカは自分そっくりの女の子を見かける。紆余曲折を経てついに対面を果たしたその女の子はイーヴァと名乗るロボットだった───
というのがこの本のあらすじ。

序盤は舞台設定とキャラの説明からイーヴァとの出会い、中盤からはイーヴァとその用心棒のルークとの共同生活で信頼関係を築くまでを描き、終盤に入りようやく事件が発生し物語が動き出したところで次巻に続きます。
前後編の前編としてはオーソドックスな形ですね。
物語の途中で張られたいくつかの伏線といい、イーヴァの行動の真意は何なのか?ナイトとビショップとは誰なのか?と気になる謎を残しての締めくくりといい次巻への興味を掻き立てる見事な文章構成はさすがは秋山さんと言ったところです。

ハルカとイーヴァは外見だけでなく中身も似たような感じなんですがその実ハルカは天真爛漫で無垢な妹、イーヴァは博識で面倒見が良い姉といった感じの正反対のタイプ。
しかし読み進めていくとイーヴァはそんな第一印象からどんどんかけ離れていき、心の闇を見せるようになります。人間であるハルカよりもイーヴァの方がおよそ人間らしい(負の)感情を持っているのではないかとさえ思えるくらいです。またハルカは知性的で大人びているイーヴァに対して憧れを持っている節があります。
この人間とロボットの立ち位置の逆転が何とも面白いところだと思います。

物語の鍵を握ると思われるイーヴァとルークの正体については終盤になっておぼろげながらも明らかになります。ファーストコンタクトの際にハルカとイーヴァの間に何らかの関係があるだろうと思っていたのですが実は…(ネタバレに付き割愛)
中々期待を裏切ってくれます。

個人的にはアンジェラがお気に入り。
みんなを守るという自分の存在意義を脅かす存在であるルークに対して真っ向から戦いを挑む姿や戦いの後の自分の気持ちに決着を付けるまでの間がいかにも人間臭く、私の目には魅力的に映りました。
イーヴァやアンジェラを筆頭にロボットたちをこれでもかというくらい人間らしく描くところが秋山さんらしいと思います。(原作ではどうなっているのかわかりませんが恐らく秋山さんはその部分を誇張して書いてると思われます)

前後編の前編という形なのでBまでしか付けませんが合格点を遥かに上回っている作品だと思います。


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